Shopifyで顧客管理(CRM)してリピーターを増やそう!RFM分析をアプリを使わずにスプレッドシートでやる方法

Shopifyはデフォルトで様々なレポートが見られて非常に便利なカートシステムですが、いわゆるRFM分析をしようとすると、(個人的には)ちょうどよいアプリがなかなか見つかりません…。

かといって自分でやるにもどのようにすれば?という人も多いかと思ったので、私が実際にクライアントのコンサルでやっている手順をご紹介していきます。

「よく分からない」「面倒くさい」という方は弊社までお気軽にご相談くださいね。

弊社では実務ベースでコンサルティングを行っておりますので、テンプレートを提供したり、弊社の方で巻き取って毎月レポーティングしたりすることが可能です。

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目次

リピーターを増やしたい!何をすればいいの?

リピーターがほとんどいない…という場合

まず大前提として「商品」か「お店」を気に入ってくれていないと、どれだけ魅力的なロイヤリティプログラムや会員限定オファーが来てもリピートはしません。

ですので、リピート促進の優先順位は下記になります。

  1. リピート性のある商品か?
  2. 商品の品質、効果実感
  3. ブランドへの愛着、共感
  4. 会員の特別感、お得なプラン

1番目については、例えば家電製品やインテリアのような、1度買ったら基本的には年単位で使用するものなど「同じ商品でのリピート」が起こりにくい商品のことです。

※この場合でも、例えばお掃除ロボットのような高額商品であればカートリッジのようなリピート商品を用意しておくなどして付属するベルの消費財でリピートさせる戦略をとることが可能です。
また、インテリア通販などに多いですが、商品の品質や同梱物の内容からブランドへの信頼性・愛着を感じてもらい、別の商品を買ってもらうことでリピートを生む戦略もありますので、一概に商品の設計のみで考えるべきではありません。

ですが、商品の設計自体がリピートを生む性質を持つことはかなり重要ですので、1番にしています。

ある程度良い商品であればリピート戦略が何もなくてもある程度はリピートしますので、新規はとれるのにリピート率が5%もない・・・という時は、まずは商品の品質をチェックしましょう。

リピーターはいるけど、もっと増やしたい!という場合

この場合でも上記の優先順位は変わりませんが、重要なのは「リピートしているお客様」と「リピートしていないお客様」とで何が違うのか?を理解することです。

お客様がリピートしている理由、しない理由をまずはしっかりと理解すること。

その上でさらに言えば、「リピートしそうなお客様」を発見することで、集中的な施策を行うことが可能になります。

そのような施策を考える時に役立つのが、購入金額や回数などの「お客様の購買行動」をベースにお客様をセグメント分けするのが「RFM分析」です。

年齢や性別のようなデモグラ情報での分析に加えて、もう一歩踏み込んだデータを活用してネットショップの売上をさらに上げていきましょう!

RFM分析で、まずはお客様の状態を定点観測しよう!

お客様の購買データをつかって、お客様を客観的に分類、理解して、より良い施策を考えるベースとしましょう。

1回限りの分析ではなく、できれば毎月行うことで、推移を観測していくことが重要です。

RFM分析とは?

RFM分析とは、

  • 最終購入日からの期間(R:リーセンシー、Recency)
  • 購入回数(F:フリークエンシー、Frequency)
  • 購入金額(M:マネタリー、Monetary)

の3つの指標でお客様を分類していく手法です。

ShopifyからデータをDLしてRFM分析をする方法

Shopifyから全顧客のレポートをダウンロード

Shopifyにはデフォルトでリピーターのレポートがあります。

Shopifyのリピーターのレポート

クリックすると、2回以上の購入のあるお客様の購入金額や注文数、最後の注文日が出てきます。

リピーターに絞り込んでいるフィルターを✕で消すと全顧客のレポートが表示されるので、右上の「エクスポート」からCSV形式でレポートをダウンロードします。

全顧客のレポートをエクスポート

Googleスプレッドシートにインポート

ダウンロードしたCSVをGoogleスプレッドシートにインポートします。

Googleスプレッドシートにインポート

インポートする際はテキストの自動変換はOFFにしましょう。

Googleスプレッドシートにインポートするときはテキストの変換はOFFにしましょう。

インポートするとこんな感じになります。

今回はテストデータでお見せしています。

RFMの基準を決める

別シートでRFMの基準を決めましょう。

ここでは5段階のランクに分けていますが、3段階でも大丈夫です。2段階以下だとあまり意味がなくなり、6段階以上だと把握しきれなくなりますので、お好みの粒度で行ってください。

ランクの考え方としては、当然ながら下記のようになります。

  • Recency(最終購入日からの日数)は短いほうが良い
  • Frequency(購入回数)は多いほうが良い
  • Monetary(購入金額)は多いほうが良い
ランク付けの基準と名前を決めておきます。

このデータの場合は、Recency(最終購入日からの日数)は30日ごとに分け、Frequency(購入回数)は1回ずつ分け、Monetary(購入金額)は奇数万円でランクアップするようにしています。

取り扱う商品によってリピートまでの日数や購入金額は分かれるため、このあたりの基準は実際の顧客データやショップの目標値から決めていただくと良いでしょう。

RFMの基準に迷ったら度数分布表を作ってみましょう

基準が決まらない、分からない、という時は「度数分布表」を作成してみましょう。

RFMそれぞれの基準で実際に何人のお客様がどのくらいの位置にいるのかを把握できます。

こちらの表のほうが直感的には分かりやすいかもしれません。

RFMそれぞれの目盛を用意

まずはRecency(最終購入日からの日数)、Frequency(購入回数)、Monetary(購入金額)で等間隔の目盛を用意します。

ここではそれぞれ10日、1回、1万円の間隔で目盛を作っています。

FREQUENCY関数を使って自動で抽出

GoogleスプレッドシートのFREQUENCY関数を使用して各目盛に何人のお客様がいるのかを自動で抽出します。

目盛の一番上の隣のセルに下記の数式を入れます。

=FREQUENCY([抽出を行うデータ],[抽出の基準となる目盛])

今回の場合は目盛がB4:B38となり、データが別シートで後ほど作成するI列となります。

データは後ほど作成します。

すると自動的に各目盛に何人のお客様がいるのかを数値化してくれます。

同じことをF,Mでも行うと、自分のショップのお客様が実際にどのように分布しているのかをみることが出来ます。

グラフを作成しておくと更にわかりやすくなりますね。

グラフがあると視覚的にわかりやすくなります。

このテストデータでは80日と170日と200日に多くのお客様がいます。

これはリピートしてないお客様が溜まっているというよりは、当時セールなどで大きく新規が伸びていた可能性もありますので、新規獲得のペースと照らし合わせながら見ていくようにしてください。

インポートしたデータからRFMそれぞれの数値を計算しておく

インポートしたデータのままだと数値が扱いづらいので、一度整理をしておきます。

右側にR,F,Mの実際の数値を抜き出す列を作っておきます。

後で処理する時に使いやすい形に数字を整理しておきます。

それぞれに入力する数式は下記です。

Recency(I3に入力する数式)
=DATEVALUE($I$1)-DATEVALUE(E3)
…I1に入力した調査日から、E3の最終購入日の日付を引いて日数を求めています。

Frequency(J3に入力する数式)
=value(F3)
…F3の注文回数を取得しています。F3がテキスト形式のため、VALUE関数で数値に変換しています。

Monetary(K3に入力する数式)
=value(H3)
…H3の注文金額を取得しています。H3がテキスト形式のため、VALUE関数で数値に変換しています。

K列に関しては表示形式を通貨に設定し、小数点以下の表示をなくしています。

数値の表示形式の変更方法

あとは作った数式をデータの一番下までコピーすれば完了です。

RFMの数値からランクづけ

今度は整理したデータを、先ほど作成しておいた基準を使ってランクづけしていきます。

基準表を元にランク付けしていきます。

先ほどの右に4つ列を追加して、下記の数式を入力します。

Rランク
=IF(I3="","",VLOOKUP(I3,'RFM基準'!$B$4:$C$8,2,true))

Fランク
=IF(J3="","",VLOOKUP(J3,'RFM基準'!$D$4:$E$8,2,true))

Mランク
=IF(K3="","",VLOOKUP(K3,'RFM基準'!$F$4:$G$8,2,true))

…上の3つは、数値がない場合はセルを空に、そうでない場合はVLOOKUPで数値を基準表から検索し、近似一致(TRUE)で検索値未満の最大値を探し、隣のセルの内容を取得しています。

RFM(必須ではありません)
=L3&M3&N3
…RFMランクの文字列を結合してあります。今回は使いませんが、後でデータ表をフィルタする時に使うと便利です。

これも同じ様に、できたら表の下までコピーしておきます。

ピポットテーブルでRFM表を作成

ここまできたらあとはピポットするだけでRFM分析結果が見られます。

表全体を選択してメニューバーからピポットテーブルを作成

行に「Rランク」と「Mランク」、列に「Fランク」を設定し、値として何でも良いのでCOUNTAでひとつ(この例では「RFM」を使用しています)、SUMで「Monetary」を設定しています。

RFMの分析結果がこちら

これで、過去◯日以内に◯回目の購入をしたお客様が合計でいくら使っているかが分かるようになりました!

RFM分析の結果の見方

このRFM分析ですが、いざ表を目の前にすると、どのように見たら良いのか分からなくなる傾向があります。

なのでざっくりとした見方をご説明します。

RFM分析表の見方

ちょっと見にくくて恐縮ですが、上記の画像のように、左上がRFM全てにおいて高ランクのロイヤルカスタマーとなります。

この左上にどれだけ多くのお客様を誘導できるかを考えるのがCRM(顧客関係値管理)の基本になります。

お客様は新規顧客として右上から入ってきて、リピートしなければそのまま下に落ちて行きます。2回、3回と購入してもらえると安定顧客となり、それが続いていけばブランドとの関係値の深いロイヤルカスタマーとなります。

RFM分析は定点観測をしよう

このRFM分析は1回だけやっても意味が薄く、定期的に行い、差分を見ていくことが重要になります。

弊社のオススメは月1回です。

毎月新しい表を作っていくことで、月々の変化を追っていくことが可能になり、そうすることで、例えば2月に実行した施策の効果を3月・4月に数値で測ることが可能になります。

このような「成果を数値化する」ことで「施策を評価する」ことが可能になる、ということがこの 分析手法の最も大きなメリットだと思います。

分析結果からリピーターを増やすには?

RFM分析によって分かったお客様それぞれのタイミング、状況に応じた対応をすることで、お客様との関係値を深めていこうとするのがリピート施策になります。

例えば、「離反しかかっているロイヤルカスタマー」や「休眠ロイヤルカスタマー」は数としてはそこまで多くないものの、購入金額が多く影響度が大きい場合が多いです。

このようなお客様に対しては、カスタマーサクセスからひとりひとりにコールして、状況伺いや商品改善の参考意見としてヒアリングをする、お礼にまだお試しになっていない商品のサンプルをプレゼントする、などをすることで、次の購入を生むきっかけにしていただくことは有効な施策になりえます。

また、このヒアリングから得られた生の声は次の改善にとても役に立つ重要な情報となります。

そのため、このような施策は顧客対応を実際に行っているカスタマーサクセスのスタッフや、マーケティングチーム、商品開発部、経営者も含めて情報を共有し、アイディア出しをしていくのが良いでしょう。

施策に必要なリストの抽出方法

実際に施策を行う時には、各セグメントの顧客リストが必要になりますが、それは元データをフィルターすることで手に入ります。

Googleスプレッドシートでフィルターをかける方法

手っ取り早く1セグメントだけ指定したい場合は、「RFM」の列でフィルターをかけましょう。

ぜひともこのRFM分析表を活用して、ネットショップの売上をアップしてくださいね!

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